ダイエットにおいて基礎代謝がベースとなる、代謝の低下をケアすることはとても大切な事です。そして基礎代謝と並び、肥満の大きな原因となるものが「抗肥満作用の低下」です。この抗肥満作用は正常な身体であれば正しく作用し、肥満を予防する方向に働きますが、肥満の方の多くはこの抗肥満作用が正しく働いてない場合が多いです。このダイエットに重要となる抗肥満作用をもたらすホルモンがレプチンです。
目次
1.抗肥満作用とは
正常な人の身体には、恒常性の介入によって太り過ぎないように体脂肪をコントロールする働きがあります。この肥満を抑制する働きが「抗肥満作用」です。
肥満を抑制する機能
人の身体には肥満を防ぐための機能（システム）が備わっています。肥満とは脂肪細胞に中性脂肪を蓄え膨張することですが、この脂肪細胞の膨張に伴い肥満を予防するために働く機能を「抗肥満作用」と言います。太る原因には基礎代謝に関する「代謝の低下」と抗肥満に関する「肥満抑制の低下」の２つが存在します。
肥満を防ぐ理由
人の身体には、何故肥満を抑制する働きが備わっているのでしょうか？現代では文明を身に付けていますが、大古では動物だったからです。必要以上に太ることは身体の運動性能を低下させ、命を危険にさらす可能性があります。そして太ってしまうことで身体にも悪影響を与えてしまうので肥満を抑制する働きが備わっています。
2.肥満を防ぐレプチンの働き
レプチンは肥満を防止するために体内で働くホルモンです。肥満の防止に有効な効果としてはエネルギー源の補給を抑える「摂食抑制」と余らせたエネルギー源を燃焼する「熱生産」があります。
脂肪細胞から分泌される善玉ホルモン
肥満を抑制するために働くホルモンがレプチンです。レプチンは脂肪細胞の膨張に伴い、脂肪細胞から分泌される善玉ホルモン（アディポサイトカイン）です。脂肪細胞の膨張、すなわち現代の肥満の具合を感知し、必要な場合に分泌されます。分泌後は、肥満を抑制する為に体内に働きかけます。
身体で働くレプチンの抗肥満作用
・摂食抑制
肥満を抑制するレプチンの働きの一つに「摂食抑制」があります。これは肥満の原因であるエネルギー源の摂りすぎに対し、食欲を無くす方向に働くセーフティー機能です。食欲を減退させる事で、余分なエネルギー摂取を抑えることで肥満のリスクを下げます。
・熱の生産
もう一つのレプチンが持つ抗肥満作用に「熱生産」があります。食べすぎによって過剰に摂取されたエネルギー源は放置しておくと中性脂肪としてストックされてしまいます。そこでエネルギー源を使いきり余らせないために熱生産を起こしエネルギー源を消費し肥満を抑制します。
3.太りやすい人はレプチンが効かない
「食べても満足できない」と感じる方や、太りやすいと感じる人は肥満を抑制するレプチンが正しく作用してないかもしれません。レプチンが効き難い方の身体にはレプチンの抵抗性が存在し、メタボリックシンドロームの方も当てはまります。
レプチン抵抗性による肥満
レプチンが体内で機能しにくい方は肥満になってしまう可能性が高いです。太っているとレプチンは必ず分泌されていますが、レプチンその物が効果を発揮でない状態になっています。それが「レプチン抵抗性」と呼ばれるもので、分泌されるレプチンに対し、身体が抵抗を示すため、レプチンの効果が得られず太ってしまうという現象です。
メタボリックシンドローム
レプチン抵抗性による肥満は、「代謝異常」と呼ばれる状態です。肥満を抑制する方向へ代謝を促すレプチンが正しく働けない環境は、正しく「正常な代謝が起こっていない身体」と言えます。この状態が続き、ＢＭＩ基準値を超過する肥満をメタボリックシンドロームと言います。通称メタボは「代謝異常」の典型的な疾患です。
4.レプチン抵抗性を改善し代謝を正す
レプチン抵抗性を改善するには、レプチン抵抗性を生み出した食生活の改善が必要です。そして、レプチン抵抗性＝代謝異常を正すには、崩れてしまった身体のバランスを整えてあげることが重要です。
原因となる食生活の改善
レプチン抵抗性の原因は、現代社会に普及している欧米食です。さらに詳しく説明すると、欧米食は動物性脂肪が多く、俗に言う「高脂肪食」と呼ばれるものです。この高脂肪食がレプチン抵抗性の原因と言われており、高脂肪食を控えることが大切です。レプチン抵抗性をさらに高めないために、食生活の改善は必須事項となります。
漢方で代謝のバランスを整える
レプチン抵抗性は、すなわち代謝異常の状態です。この代謝異常は身体のバランスが崩れている状態です。レプチン抵抗性の改善を目指すには、崩れてしまった身体のバランスを立て直す必要があります。身体のバランスを立て直すには「バランスの医学」と呼ばれる漢方を活用し、身体を整えていくことで代謝が正常に起こり、抗肥満作用を取り戻すきっかけとなります。